
先日、映画「正体」を劇場で観てきました。
主演は横浜流星さん。
最初は正直、まったく観ようと思わなかったのですが......。
これまで映画のほうがWOWOWドラマより面白かった試しがない
既にご存知かもしれませんが、染井為人さん原作の「正体」は、2022年にWOWOWでドラマ化されています。
主演は亀梨和也さん。
今作に限らず、ある小説がWOWOWと映画の両方で映像化されたケースが複数存在します。
「空飛ぶタイヤ」
「アキラとあきら」
「ゲームの名は誘拐」
「ソロモンの偽証」など。
それでね...個人的に、映画版がWOWOW版より面白かった試しがない。
もちろん尺の問題というのはあるでしょう。しかしながら、それを差っ引いても明らかにWOWOW版のほうが良作が多い(と思う)。
「正体」もきっとそのパターンだと決めつけていました。
うーん、ちょっと違うな。
「やっぱWOWOWのほうが面白いじゃんか」と、WOWOWドラマ好きの私は言いたかったんだと思います。
私の中で、「連続ドラマW 正体」はまごうことなき神ドラマ。これまでのパターンからして、映画版であのクオリティが出せるわけがない。
だとしたら、自分の目で確かめれば良いんじゃない?確かめる必要があるのでは。
そう思うと、無性に観たくなってきました。いてもたってもいられず公開初日に映画館に足を運ぶことに。
決めつけはダメ!映画版「正体」も素晴らしかった!
いや〜、やられた(良い意味で)。勝手な決めつけは良くない!
映画「正体」も本当に素晴らしい作品だったのです。
最初はドラマ版と比較しながら観ていたのですが、正直途中からは忘れていました(笑)
おおよそのあらすじや結末はわかっているのですが、それも忘れてどんどん引き込まれました。
そして、観終わったあとも心が動かされている感覚。
個人的に、2024年は映画館での鑑賞回数が多かったのですが、間違いなく1番良かった!
設定や関係性に違いがある
ドラマ版と比較すると、「主人公・鏑木の年齢」や「淳二弁護士と沙耶香の関係性」「介護福祉施設の場所」「舞と鏑木の関係性」などが異なります。
ちなみに、私は原作を読んだことがありません。加えて「原作に近いかどうか」は気にしていない方です。
原作に近かろうが遠かろうが、面白いものは面白いというスタンスを取っています。
【ドラマ版と比べて】映画版「正体」で良かった点
ではここからは、ドラマ版と比べて映画版で良かった点をこれまた個人的な視点で綴ってみます。
刑事・又貫の葛藤
死刑囚・鏑木を追い続けるのが警視庁捜査1課の又貫(山田孝之さん)です。
鏑木の取り調べも担当し、当初は「犯人は鏑木」と確信していました。
が、途中から迷いが生じます。「もしかしたら犯人は別にいるのかも」。
映画版では又貫の葛藤が丁寧に描かれています。鏑木との距離もドラマ版と異なっていますね。
あと、又貫の上司・川田(松重豊さん)も登場します。川田と又貫の関係性にも注目です。
ドラマ版の又貫は無慈悲で冷徹
ドラマ版「正体」の又貫(音尾琢真さん)は、少しも疑いを持たない。ただただ無慈悲で冷徹に描かれています。(笑)
必死の逃走を続ける鏑木をジワジワ追い詰めます。「車のキーを無くした」とか嘘ついてズカズカ家に入るし。「公務執行妨害で逮捕しますよ」とか脅すし。
ドラマ版と映画版における「又貫」の違いは、最後に判決が出たときの様子に現れているってなもんです。
【ライター編】安藤との同棲生活
「那須」としてフリーライターの仕事を行う鏑木は、取引先の編集社の安藤沙耶香と知り合い、同棲生活を送ることになります。
ドラマ版では貫地谷しほりさんが、映画版では吉岡里帆さんが安藤を演じます。
鏑木が安藤に対して心を許すシーン。もちろんドラマ版もたいへんに素晴らしいのですが、僅差で映画版のほうが好きです。(ほぼ同点)
途中から那須の正体が逃亡犯・鏑木かもしれないと気づく安藤ですが、鏑木を信じるのでした。
メディアの雰囲気・鏑木との関係性がドラマと異なる
そういえば安藤の勤務先も、ドラマ版と映画版とで雰囲気が異なっています。
ドラマ版では女性編集者が多い職場でした。対して映画版だと男性編集者も多くいるようです。また映画版で鏑木は専属ライターとして契約し、メディアとより深く関わることになります。
鏑木再逮捕後のストーリー
ドラマ版と映画版の最も大きな違いは、鏑木が再逮捕されたあとのストーリーだと思います。
ドラマ版ではやや早足に描かれている感が否めません。対して映画版では、鏑木とこれまで逃走先で関わった人とのやりとり、そして又貫とのやりとりがじっくり描かれています。
皆が鏑木の無罪を信じます。接見のシーンは思わず涙腺が崩壊しそうでした。
【ハラハラ】鏑木の独特な「走り方」
これこそ個人的な感想ですが、鏑木のクセのある走り方が印象に残りました。
ドラマ版の鏑木は実に綺麗なフォームで走ります。「これは逃げ切れるでしょう!」と安心できるというか(笑)
対して映画版の鏑木は「あぁやばい、捕まる...」とハラハラするというか。
とにかく必死...何がなんでも逃げるという執念。綺麗じゃないフォームだからこそ、不思議と心が動かされます。(伝わるかな?)
模倣犯・足利
鏑木が逃走を続ける中、新たな殺人事件が起こります。
当初は「鏑木が起こした事件の模倣犯」とされていましたが、事件を起こしたの足利が、余罪をほのめかすようになるのです。
ドラマ版に比べて映画版のほうが、足利についてより詳しく描かれています。
そして映画版で足利を演じるのが山中崇さん。いやはや、ここまでのハマり役はいないというか(笑)
山中さんは「悪党」でも狂気全開の演技をされています。必見!
【映画版と比べて】ドラマ版「正体」で良かった点
さてここからは、映画版と比べてドラマ版の良かった点を紹介していきます。
引き続き、あくまで私の目線です。
【牛久保編】和也とのやりとり
物語冒頭1話で、鏑木が「遠藤」に変装して、「牛久保土木」で仕事するシーンが描かれます。
ドラマで、牛久保土木の作業員は「ぎゅうぼ」と呼ばれていました。
映画版でも描かれていますが、ここはドラマ版のほうが好きですし、「和也」は市原隼人さんしか思い浮かびません。(もちろん映画版も素晴らしい)
作業員仲間が怪我をした際に会社は何もしてくれず。そこで鏑木は治療費をもらうための策を講じ、そして実際に和也たち作業員を助けたのでした。
「ここにいたら、人間が平等なんてとても思えねぇ」
遠藤(鏑木)に対して仲間意識を抱く和也ですが、事件のニュースを見てピンと来ます。
「首の傷」。和也は、遠藤の正体が鏑木だと気づき、通報するか迷うことに。
「なぁ、俺たち友達かな?」
そして通報を受け駆けつけた又貫刑事に対し、「信じられない...遠藤は、いいやつです」と話すのでした。
ヤンチャなんだろうけど、ただのチンピラではない。人として深みがある。
市原さん演じる和也は最高です!
渡辺弁護士との出会い
映画版では弁護士の安藤淳二と安藤沙耶香は親子ですが、ドラマ版では「渡辺淳二」として描かれます。
痴漢冤罪によって、弁護士としての仕事はおろか娘の結婚も破断になってしまいます。そして電車に飛び込もうとしたところを鏑木に助けられるのでした。
「あなたは、私の命の恩人です」
渡辺淳二を演じるのは上川隆也さん。数々のドラマに出演されていますが、あんな弱々しい役はなんだか新鮮です。
そしてその後、鏑木の冤罪を晴らすために渡辺弁護士が活躍することになるのでした。
淳二弁護士と鏑木の関係性は、ドラマ版のほうが好きです。
裁判長の最後の言葉
ドラマ版の最後、判決が出たあとに裁判長がある言葉を鏑木に送ります。
もしかしたらこの場面が、「正体」を神ドラマたらしめている1つかもしれません。
それだけ重要です。(個人的に)
このシーンがあってはじめて、ドラマ「正体」が締まるというか、そんな感じです。
検察官として出演
ちなみに、ドラマ版の最後で裁判長を演じた信太 昌之さんですが、映画版では安藤淳二の裁判シーンで検察官(?)として出演されています。
「おいおい裁判長じゃないのか」と思ってしまいました(笑)。まぁ結構あるよね、そういうパターン。
「アオバ」での立てこもりシーン
逃亡を続けた鏑木が最後に辿り着いたのが、事件の目撃者・井尾が入居している介護福祉施設「アオバ」です。
「わたし、あなたの正体を知っています」
同僚の舞を人質にして立てこもる鏑木。警察との緊迫状態が続く中、鏑木は舞に全てを打ち明けるのでした。
そして、自分に都合の良い答えを返さなかった鏑木を信じる舞。
このシーン、涙なしには観れません。なんといっても、舞を演じる堀田真由さんが素晴らしすぎる。
とはいえ映画版もほんとうに良かった!「アオバ」のシーンについてはたいへんに甲乙つけがたいですが、ややドラマ版のほうが好きです。
亀梨和也さんが主演した「連続ドラマW ゲームの名は誘拐」も超おすすめ!
「鏑木を信じる人間が集まるシーン」が最高!
「正体」のなかで、「鏑木を信じる人間が集う」シーンが好きです。
各地で鏑木と出会い助けられた人間が一同に顔を合わせ、鏑木の無罪を証明するために動きます。
ドラマ版も映画版も、両方素晴らしかった!
介護福祉施設で鏑木と仕事をして恋心が芽生えた舞と、鏑木が思いを寄せてる沙耶香の関係性がなんだか好きです。
結論!「正体」は映画もドラマも神作品
ドラマ版も映画版も観たうえで綴ってきましたが、要するに「正体」は神作品だと言わざる得ません。
「人を信じるってどういうことだろう?」そんな問いかけが込められた秀作です。
ぜひ両方観てみてほしいと思います!
WOWOWドラマは映画クオリティの良作ばかり。
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