清武英利さん原作「連続ドラマW  石つぶて〜外務省機密費を暴いた捜査二課の男たち」の感想・見所(実話をもとにした骨太作品)

「しゃべったら殺される金の真相を、俺たちが暴くんだ」

この記事では、
「連続ドラマW  石つぶて〜外務省機密費を暴いた捜査二課の男たち」の見所や感想を個人的な視点で綴ります。

個人的には、ドラマWの最高傑作!
実際に起こった外務省職員による詐欺事件を、リアルに描いた骨太作品。

1人でも多くの人に観て欲しいドラマです。

「石つぶて」とは?(原作・概要・キャスト)

最初に、「石つぶて」の概要をまとめてみました。

原作者は清武英利さん

本ドラマは、清武英利さんの小説「石つぶて 警視庁 二課刑事の残したもの」が原作。
2017年に出版されました。


2018年には、優れたノンフィクション作品を表彰する「大宅壮一 メモリアル日本ノンフィクション大賞」の読者賞を受賞しました。

ご存知の通り、清武さんは多くのノンフィクション小説を執筆されています。
WOWOWでもいくつかドラマ化されました。

「しんがり」「トッカイ」も絶対チェックして欲しい骨太ドラマです!

【実話】外務省職員による詐欺事件(さんずい)を描く

このドラマでは、2001年に起こった外務省職員による10億円近くの詐取事件が描かれています。

汚職や不正(サンズイ)を専門に扱う「警視庁二課 情報係」の刑事が、ある外務省職員の不自然な金の流れを掴みます。

その中には「機密費」と呼ばれる極秘の金が含まれていました。

今までも誰も触れてこなかった金。
しゃべると殺される金……。

果たして、二課の刑事たちは機密費の正体を暴けるのか?
国や組織に抗いながら、戦う刑事たちをリアルに描きます。

もちろん人物名などは異なりますが、実際の事件・原作の内容を忠実に映像化しています。

【ちなみに】石つぶてってどんな意味?

タイトルの「石つぶて」って言葉が気になります。
どんな意味なんだろう……?

調べてみると「小石・小石を投げること」という意味であることが分かりました。

小石のような刑事達が、巨大な国家に対してぶつかっていく。
物語の内容にぴったり合っていると納得です!

【豪華】「石つぶて」のキャスト

本作には、実力派キャストが集結しています。
主演は佐藤浩市さん。
警視庁捜査二課 第一知能犯 情報係主任・木崎を演じます。

頭の上からつま先まで情報係の刑事。
保秘を徹底していて、捜査内容を同じ課の人間にも明かさない。
下戸で富士そばが大好き。

もう1人の主役は江口洋介さん。
警視庁捜査二課 第一知能犯 情報係長・斎見を演じます。

四課(組織犯罪対策課)から情報係に異動してきた。
日焼けしていて、人のたばこをよく頂く(笑)

外務省の要人海外訪問支援室長・真瀬を北村一輝さんが演じます。
ノンキャリアながら、サミットや外交時の費用を自由に動かせる立場。
とにかく豪遊しまくり!
このドラマのメインテーマである詐欺事件の張本人。

その他の登場人物を、

萩原聖人さん(警視庁二課 係長・東田 役※司馬遷が大好き)
飯豊まりえさん(情報係・矢倉 役)
細田善彦さん(捜査二課管理官・町沢役※おそらく矢倉が好き)
菅田俊さん(第四知能犯三係・羽左間 役)
三浦誠己さん(第四知能犯一係・細野 役)
矢島健一さん(刑事部長・国友 役)
佐野史郎さん(官房局長・安西 役)

をはじめ豪華キャストが脇を固めます。

2017年11月5日〜12月24日にかけて全8話が放送されました。

ちなみに前クールは「沈黙法廷」でした。

このドラマも超おすすめ!

重みが違う!リアルな描写と刑事達のゴツゴツしたぶつかり合い

私が思うに、本作って他のドラマ(地上波・WOWOW含めた)に比べて重みが違うんです!

取り扱っているテーマやリアリティはもちろん、登場人物の気持ちのぶつかり合いが分厚い。

巨大な敵に挑む勇気がもらえる、正義感を奮い立たせてくれるドラマであることは間違いありません。

ゆえに、結末を知っていようが関係なく、何回も観たくなる不思議な中毒性があります。

あと、音楽もかっこいい!

物語は3部に分けられる

本ドラマは8話構成ですが、大きく3つに分けることができます。

二課の刑事編:1話
真瀬との戦い編:2話〜5話
機密費編:6話〜8話

したがって、1話目ではメインの詐取事件についてほとんど触れられません。

2話以降から二課の刑事の動きと、真瀬の動きがそれぞれ描かれます。
豪遊しまくりの真瀬に、刑事たちが緻密な捜査を重ねて近づいていきます。
そのコントラストが実に面白い!

「石つぶて」のおすすめシーン・おすすめポイント

ではここから、本作のおすすめシーン・おすすめポイントを個人的な視点で紹介します!

①木崎のやり方が分かる1話目

本作の1話目では、木崎(佐藤浩市さん)の捜査方法が分かるシーンが多いです。

冒頭で、石油会社の社長から「面談の約束なしに押しかけて来て迷惑だ」とクレームが入ります。

しかし木崎は、クレームが入ったその日に再び押しかけます(笑顔で)

この笑顔が結構ツボなんですわ。

保秘を徹底するために、上司にも報告書を出しません。

捜査のためなら、相手の懐に土足で入り込む。

絶対に情報漏洩は避ける。(食べたものは言わない)

頭のてっぺんから爪先まで「情報係」な木崎に注目です。

②斎見と木崎の関係性

情報係に異動してきた斎見(江口洋介さん)。

木崎とは、過去に暴力団事件で一緒になり、軽くバチバチでした。

外務省・真瀬を調べる木崎は、斎見には決して情報を教えません。

仕方なく、斎見は独自で調査。

木崎が調べた競馬場を、後から斎見が調査するという追いかけっこ状態(笑)

真瀬の愛人宅に聴取に行くときも、ギクシャクしまくり。

対立していた斎見と木崎ですが、あるきっかけから共闘するようになります。

この関係性も面白いです。

③司馬遷好きなオールバック・東田課長

クセが強い木崎と斎見をまとめるのが、東田課長(萩原聖人さん)です。

ばっちり固めたオールバック。

司馬遷が好きで、部屋にも立派な銅像を置いています。

(なぜか頭がずれている?)

前代未聞の汚職事件を目の前にして難しい立場ですが、しっかり上を説得します。

「ぼっちゃん」と言われていますが、やる時はやる男!

本ドラマの重要人物の一人です。

3人で判を押すシーンは必見!

調査の報告書を「ナンバー」に挙げる場面。

情報を挙げれば本格的に捜査が始まり、国家を揺るがす事態になりかねません。

判を押す前に、武者震いする東田。

その東田を助けるように、斎見と木崎が一緒になって3人で判を押します。

ここが、めちゃくちゃ好き!!

④真瀬と対峙する木崎・斎見

5話目。

とうとう取調室で対峙する木崎・斎見と真瀬。

事件を潰さないように徹底して捜査したのですが、真瀬は思わぬ事を言い始めます。

そして過去に使った経費を全て暗記して、その数字には全て合っています。

このままでは、事件が無かったことになってしまいかねません。

再度調べる木崎と斎見。

そしてついに突破口を見つけます!

この取調べシーンは、本作前半の最大の山場でしょう。

難攻不落の真瀬を、いかに落とすのか?

⑤とてつもない壁を目の前にする情報係

7話・8話では、真瀬が使った金の正体について描かれます。

明らかに国絡みの黒い金です。

しかし官邸や警察上層部は、真瀬個人の犯罪で処理しようとします。

納得がいかない木崎と斎見。

真相が分かるのは、真瀬個人しかいません……。

個人的に、最終話には「寂しさ」を感じました。

祭りの後って言ったら良いのか……。

だから私は、前半部分が好きです。

ただ最後は、情報係のその後が描かれていて、清々しさもあります。

警察を退職した木崎と真瀬が話すシーンも、染みるなぁと。

⑥ゴツゴツしたドラマで光る女優たち

最後に、「女性キャスト」について綴っておきます。

このドラマって、「石つぶて」という名前の通りゴツゴツしたドラマだと思うんです。

少なくとも、ラブコメではない(真逆だわな)

その中で、女性キャストが輝いていると思っています。

情報係の刑事になった矢倉

新宿署から情報係に異動してきた矢倉(飯豊まりえさん)。

これまでは新聞のスクラップ作りが仕事でした。

木崎が捜査している情報を、斎見に伝える矢倉。

この情報と引き換えに、「損はさせない、捜査に加えて欲しい」と願い出ます。

「お前も2課の刑事だったんだな」(木崎)

矢倉が情報係の刑事になっていく様子も要注目です。

真瀬の愛人たち

離婚を繰り返し、愛人と豪遊する日々を送る真瀬。

何人か愛人が登場します。

銀行の窓口係の若木(石崎なつみさん)は、真瀬が毎回持ってくる大金を口座に入金します。

若木が寿退社する際には、真瀬からのお祝い金を自らの口座に入れます。

「結婚やめちゃおうかな」

とか言い出す若木。(おいおい)


看護師・杉谷(真飛聖さん)は、真瀬と同居している愛人。

真瀬が所有する競走馬には、杉谷の名前が付いています。

取調べ後、マスコミに追われて人格が変わる真瀬を目の当たりにして、斎見に電話するのでした。

ゴツゴツ感の中に、お二人の演技が光っています。

女優陣の存在感もチェックしてみて下さい。

【地上波NG】骨太すぎる大人ドラマ!ぜひご覧ください

今回は「石つぶて〜外務省機密費を暴いた捜査二課の刑事たち〜」について書きました。

毎度のことながら、このドラマも地上波で放送は難しいでしょう。
WOWOWならではの社会派な大人ドラマ。

ぜひご覧ください!

「石つぶて」は傑作ですが、他にも骨太で社会派ドラマはあります。

ドラマWおすすめ作品を厳選して紹介しました!



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